自宅に便利な調味料を置いていると、冷蔵庫にある食材だけで多種多様な料理が作れるものです。和食の基本調味料である「さしすせそ」はもちろん、みりんや料理酒、ドレッシング、ソース、ケチャップ、マヨネーズなどが便利に使えます。
いきなりすべてを揃えるのは難しいので、まずは調味料の「さしすせそ」を揃えて使いこなしていきましょう。今回は、調味料のさしすせそが示すそれぞれの調味料の歴史や特徴、入れる順番をまとめました。レシピもご紹介するので、ぜひ活用してみてください。
Contents
調味料「さしすせそ」の歴史・特徴・レシピを紹介
ここでは、さしすせその調味料の歴史や特徴などをご紹介します。
さ:砂糖
砂糖は英語でSugar(読み方はシュガー)といいます。紀元前のインドで、利用されていたといわれています。日本には鑑真和上が奈良時代に伝え、当初は薬でした。
<歴史>
室町時代 | 茶の湯の流行に伴い菓子に使用 |
江戸時代後期 | 砂糖製造が全国に広まる |
明治時代 | 砂糖が一般化 |
砂糖は甘みを加えて、料理にコクを出します。
<種類>
上白糖 | 甘さにコクがあり料理やお菓子など万能に使う |
グラニュー糖 | あっさりとした甘さでお菓子やジャム、コーヒーに向く |
三温糖 | 甘さとコクが強く黄褐色で煮物に向く |
黒砂糖 | 風味と甘さが強く駄菓子に使われる |
上白糖は日本独自の砂糖で、世界的に一般化しているのはグラニュー糖です。
<だし鶏ハム>
鶏もも肉をラップで巻き、短時間の加熱をしたら、鍋に入れておくだけで完成するレシピです。旬の野菜を添えれば季節を問わず楽しめ、バランスのとれた料理になります。
鶏ハムを休日に作り置きすれば、カットするだけで食卓に出せる、簡単メニューです。急いで食事の用意をするとき、お弁当のおかずを準備するときに重宝します。
■材料(2人分)
極みのだし 1袋
鶏むね肉 2枚(600g)
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1~2
青じそ 4枚
■作り方
1.鶏むね肉は皮をとり、観音開きにして厚さを整え、ラップの上から麺棒で軽く叩いてのばす。だし、砂糖、塩をふって塗りこむ。
2.サランラップの上に、1をのせ青じそを広げ、丸めて筒状にする。ラップをしっかり巻いて形を整え、ビニール袋を2重にして入れる。
3.沸騰した鍋の中に、2を入れ、蓋をして5~8分茹でてから火を止め、30分以上余熱で中まで火を通す。
し:塩
塩は英語でSalt(読み方はソルト)といいます。塩は紀元前の古代中国や古代エジプト文明で使われていました。日本では縄文時代の製塩土器が見つかっています。平安時代から昭和後期にかけて、塩は以下のような方法により塩田で作られました。
・揚浜式
・入浜式
・流下式
昭和後期以降はイオン交換膜電気透析法により工場で作られています。
<塩の効果>
作用 | 防腐、発酵、柔軟作用。ぬめりやあく、水分を除く |
味わい | 塩味を与え、味わいを引き締める。酸味が和らぐ |
塩の味わいは粒が大きいほどまろやかで、にがりが多いほど奥行きとコクが出ます。結晶の形状が複雑になるほど塩味が強くなる傾向です。
<塩の主な種類>
海塩 | まろやかで魚、野菜料理に合う |
岩塩 | 塩味が強く肉料理に合う |
海塩には天日塩とせんごう塩があり、日本では岩塩はとれません。
<後味爽やか!ぶりのゆず照り焼き>
12月~2月が旬の寒ぶりを照り焼きにしました。この時期のぶりは身がきゅっと引き締まり脂ものっています。ぶりを焼いたらドレッシングマスターズゆずをからめるだけの手間のかからないレシピです。
使用する材料はシンプルなのに主菜になるため重宝するでしょう。旬の美味しさが詰まっているので、ぜひ作ってみてください。
■材料(2人分)
ぶり 2切れ
青じそ 2枚
塩・こしょう 各少々
小麦粉 適量
サラダ油 大さじ1/2
ドレッシングマスターズゆず 大さじ3
白ねぎ 少々
■作り方
1.ぶりは塩・こしょうし、薄く小麦粉をまぶす。
2.フライパンに油をひいて熱し、1を入れ両面に焼き色をつける。火が通ったら、ドレッシングマスターズゆずを加えて煮からめる。
3.器に青じそを敷き、2を盛りつけ、焼いた白ねぎを添える。
す:酢
酢は英語でVinegar(読み方はビネガー)といいます。酢の最古の記録は紀元前の古代バビロニアの書物です。日本には古墳時代に酒の生産技術とともに伝わったようです。
<歴史>
平安時代 | 卓上調味料に使用 |
室町時代 | 料理の調味に使用 |
江戸時代 | 一般化し寿司に使用 |
大正時代 | 安い合成酢を製造 |
昭和には合成酢のラベル表示が義務づけられ、醸造酢が再び主流になりました。
酢はタンパク質を固め食材の変色を防ぎ、料理に酸味と風味を与え、塩味をまろやかにします。
<種類>
穀物酢 | 小麦やとうもろこしを使いクセのない酸味 |
米酢 | 米を使いほんのりとした甘さでまろやか |
黒酢 | 玄米を使いコクや風味が豊か |
リンゴ酢 | リンゴを使いフルーティな甘さと酸味 |
バルサミコ酢 | 白ブドウを使い香り高くまろやかな甘さ |
酢は糖分をもつ原材料で酒を造り、酢酸菌で発酵したものです。
<牛肉と卵のそぼろ寿司>
牛ひき肉と卵をそぼろ状にして、すし飯に盛りつけた簡単ちらし寿司をご紹介します。牛肉はひき肉を使用しているのでお財布にも優しいのがポイントです。
また小さなお子さんでもスプーンで食べやすくなっています。きぬさやに紅生姜、桜でんぶなどを加えると華やかな場面でも使える料理です。
■(2人分)
ごはん 280g
牛ひき肉 200g
卵 2個
ねぎ 1/3本
生姜 1かけ
油 小さじ1
A
米酢 大さじ2
砂糖 大さじ1
塩 ひとつまみ
B
旨味黄金醤油 大さじ2
水 大さじ2
砂糖 大さじ1
■作り方
1.ボウルに温かいごはんとAを入れて混ぜ、酢飯を作る。
2.ねぎと、生姜はみじん切りにする。
3.油をひいたフライパンでいり卵を作る。
4.フライパンに牛ひき肉、ねぎ、生姜入れて炒め、Bで味付けする。
5.皿にすし飯を盛り、牛ひき肉といり卵を散らす。
せ:醤油
醤油は英語でSoy Sause(読み方はソイソース)といい、古代中国の「醤(ジャン)」が起源といわれています。日本で醤油と呼ばれるようになったのは室町時代ですが、それ以前にも醤油の原型とされている醤(ひしお)と呼ばれる塩蔵品は存在していました。
大宝律令には宮内庁の大膳職の「醤院(しょういん/ひしおつかさ)」で製造したと記されています。
<歴史>
奈良時代 | 大膳職で醤がつくられていた |
江戸時代 | 関東で濃口醤油、関西で淡口醤油を製造 |
醤油は食材の臭みを消して日持ちをよくし、料理に香りやうまみ、塩味を足します。
<種類>
濃口醤油 | 万能 |
淡口醤油 | 塩分は高め |
たまり醤油 | 色が濃く強いうまみ |
再仕込み醤油 | 濃厚な味わい |
白醤油 | 素材の持ち味を引き出す |
濃口醤油は日本で最も生産される醤油です。
<簡単に旨味アップ!たっぷりきのこの和風パスタ>
この和風パスタはバターや旨味黄金醤油、極みのだしを使うため、濃厚なコクとうまみのある味わいに仕上がります。具はきのこのみなので、数種類を加え味わいに奥行きを出しましょう。
自宅に常備している食材で手早く作れるのに、味わいは本格的です。ごろっとした鶏肉を加えれば、食べ盛りのお子さんでも満足できる1品になります。
■材料(2人分)
パスタ 200g
きのこ(しめじ、えのき、まいたけなど) 適量
バター 20g
極みのだし 1袋
旨味黄金醤油 大さじ2
塩こしょう 適量
油 適量
■作り方
1.たっぷりの湯に塩を加えて、パスタを茹でる。
2.きのこは石づきを切り落とし、食べやすい大きさに手でわける。
3.フライパンにバターを熱し、きのこを炒める。
4.極みのだしと旨味黄金醤油を加えて混ぜ、パスタも加えて炒め合わせる。
5.塩こしょうで味を調えたら完成。
そ:味噌
味噌は英語でMiso(読み方はミソ)といいます。味噌も古代中国の「醤」を起源にもつようです。なぜかというと味噌は醤が熟成段階のもの、つまり未醤が転じて味噌となったからです。
<歴史>
飛鳥時代 | 大宝律令に未醤と記載 |
平安時代 | 高級官僚の給料として支給 |
鎌倉時代 | 武士に一汁一菜が定着 |
室町時代 | 自家醸造が開始 |
江戸時代 | 味噌の一般化 |
味噌は食材の臭みを除き保存性を高め、料理に塩味や香り、うまみにコクを与えます。
<麹による分類>
米味噌 | 米麹を使いクセのない味わい |
麦味噌 | 麦麹を使い香りとうまみがある |
豆味噌 | 豆麹を使いうまみと辛味がある |
<味による分類>
甘味噌 | 塩分が少なく甘さが強め |
甘口味噌 | まろやかでほのかな甘さ |
辛口味噌 | すっきりした濃厚なうまみ |
<色による分類>
赤味噌 | コクとうまみがある |
白味噌 | まろやかな甘さがある |
淡色味噌 | 上記の中間的な味わい |
以上の3つの大まかな分類が存在します。
<20分で作れる!赤味噌煮込みハンバーグ>
定期的に食べたくなるハンバーグをコクとうまみのある赤味噌を使って作ります。トマトやバター、赤味噌を使い、デミグラスソースのような濃厚な味わいに仕上げました。
時間がかかりがちな煮込みハンバーグをスピーディに作れるレシピです。目先が変わって新鮮な気分で食べられ、家族みんなが喜ぶ顔が目に浮かびます。
■材料(2人分)
トマト 1個
サラダ油 小さじ1
A
合いびき肉 300g
玉ねぎ(みじん切り) 1/4個
卵 1個
パン粉 15g
牛乳 大さじ2
B
極みのだし(袋を破って) 1小袋
水 200ml
赤味噌 大さじ1
砂糖 小さじ1
バター 10g
■作り方
1. ボウルにAを入れてよく練り合わせ、4等分にして成形する。
2. フライパンに油を熱し、1、くし形に切ったトマトを並べ、両面焼き色がつくまで焼く。
3. Bを加え、ひと煮立ちさせたら、中火にし、蓋をして5分、蓋を外して5分煮る。
調味料「さしすせそ」を入れる順番
さしすせその調味料を入れる順番は、なぜできたのでしょうか。その理由はそれぞれの調味料の特徴にあります。以下に、投入順序の根拠をまとめました。
1.砂糖は分子が大きく食材にしみにくいので始めに投入
2.塩は砂糖の前に入れると食材が硬くなるため、砂糖の次に投入
3.酢には塩味を和らげる働きがあるため塩の次に投入
4.醤油は加熱時間が長いと風味が飛ぶため後半に投入
5.味噌は過熱で香りや風味が消えるため終盤に投入
酢は調味料の浸透を妨げる働きがあるため、調理の中盤に投入します。
調味料の投入順序は目安です。さしすせその順番は料理によって前後します。事前に調味料を混ぜ合わせて使うこともあります。調味料の使用順序はそれぞれのレシピに合わせましょう。
「さしすせそ」以外の和食で使用する調味料
みりんと料理酒は、さしすせそ以外で使用頻度が高い和食の調味料です。それぞれの歴史と特徴を見ていきましょう。
みりん
みりんは英語でSweet Sake(読み方はスウィートサケ)といいます。みりんには有力な起源が2説あります。戦国時代に中国から甘い酒が伝わったという説、日本古来の「練酒」や「白酒」に防腐効果を狙って焼酎を足したという説です。
<歴史>
江戸時代後期 | 調味に使用 |
明治時代から戦前 | 日本料理店で利用 |
昭和中期 | 一般化 |
てりが出るみりんは大きく3種類にわけられます。
<種類>
本みりん | コクとまろやかな甘さで、味がしみやすい |
みりん風調味料 | 甘さが強くアルコール度数は低い |
みりんタイプ調味料 | 塩味があり、食材の臭みを除く |
本みりんはアルコール度数が高いため、食材の臭みを除き、煮崩れを防ぐ働きがあります。みりん風調味料にはない効果です。本みりんの投入順序は砂糖の前です。
<テリで食欲をそそる!鶏むね南蛮>
鶏むね肉ですが、みりんと砂糖で甘味とコクを付け足して満足のいく味わい仕立てに。さらに手作り南蛮ソースで、鶏むね肉とは思えないほどの旨みたっぷりな仕上がりです。
■材料(2人分)
鶏むね肉 2枚(400g)
塩・こしょう 各少々
酒・生姜汁 各大さじ1
すりおろしたにんにく 1片分
片栗粉 適量
サラダ油 適量
A
旨味ぽん酢 大さじ3
みりん・水 各大さじ2
砂糖 大さじ1
・南蛮ソース
卵 2個
玉ねぎのみじん切り 大さじ2
牛乳 大さじ1
塩・こしょう 各少々
B
マヨネーズ 大さじ3
レモン汁 大さじ1/2
砂糖 大さじ1/2
■作り方
1.鶏肉は、フォークなどで数か所穴をあけて塩・こしょうをふる。酒、生姜汁、にんにくをもみ込んだ後は染み込むまで放置し、薄く片栗粉をまぶす。
2.サラダ油をフライパンで熱したら1の両面を焼き、中火で蓋をする。
3.中まで十分な火が通ったら混ぜ合わせたAを加えて煮絡める。
4.耐熱ボウルに溶き卵、牛乳、玉ねぎを入れて約2分電子レンジで加熱する。間で1度取り出してよく混ぜ合わせてスクランブルエッグ状にし、冷めてからBを加える。
5.器に2を盛りつけて、3をかけたら、完成。
料理酒
料理酒は英語でCooking Sake(読み方はクッキングサケ)といいます。奈良時代に酒が調味料として使われた記述が残っています。当時は「あえさけ」と呼ばれ、卓上調味料として利用されていました。室町時代頃には酒が臭み消しや隠し味として使われ始めています。
料理酒は食材の臭みをとり、味わいが浸透するのを助け、料理にはうまみやコク、香りを与えます。料理酒と日本酒、みりんの特徴の違いは以下の通りです。
料理酒 | 塩味を加え、うまみを出したいときに向く |
日本酒 | 食材の持ち味を引き出し、コクを加えたいときに向く |
みりん | 甘さを加えたいとき、てりを出したいときに向く |
料理酒の投入順序は砂糖よりも先です。
<ぽん酢で作るスペアリブ>
かぼすの爽やかな香りと酸味が食欲をそそります。いつもと違ったスペアリブの味付けを堪能しませんか。
■材料(2人分)
かぼすぽん酢 大さじ3
砂糖 大さじ1
おろしにんにく 小さじ1/4
炭酸水 250ml
スペアリブ 500g
サラダ油 少々
■作り方
1.サラダ油をフライパンで熱し、スペアリブを置いて両面を中火で焼く。油がでたらキッチンペーパーなどで拭き取る。
2.炭酸水、ぽん酢、砂糖、おろしにんにくを加えた後、落し蓋をする。弱火で加熱。
3.約20分後、中~強火で煮汁がなくなるまで炒る。なくなっても炒り続け、肉に焼き目をつけたら火を止めて、完成。
商品紹介
今回ご紹介したレシピには、旨味黄金醤油やドレッシングマスターズゆず、極みのだしを利用したものがあります。これらの商品を使うことで、味が決まりやすくなり時短で調理が可能です。忙しい毎日を送っていても手早く美味しい料理ができあがります。ぜひご活用ください。
キセキの雫「旨味黄金醤油」
日々の食事では簡単に作れて美味しい料理を食べられるのが理想です。キセキの雫「旨味黄金醤油」はそんなときにおすすめです。同じ手順で料理してもプロの味わいになるからです。
旨味黄金醤油は創業より160年以上が経過した老舗醸造元とミシュランシェフがともに開発した醤油です。絶妙なさじ加減で調えられた味わいは、面倒な味付けの手間を省き、料理の味わいをレベルアップしたいときに重宝します。
まとめ
調味料のさしすせそは、古くから和食の基本として引き継がれてきた合理的な料理方法です。5つの調味料さえあれば、幅広い料理が作れるのも魅力です。
レシピを参照せずに料理をするときには、この基本を覚えていれば、美味しい料理作りに役立つでしょう。記憶に残りやすいので、ぜひご活用ください。